5月5日はGWの最終日を飾る日で社会人や学生の方の中には憂鬱になってしまう方も少なくない日だと思いますが、5月5日はとっても大切にすべき日って知っていましたか?
こどもの日
こどもの日はもともとは「端午の節句」(たんごのせっく)と呼ばれる日で男の子の健やかな成長を祝う日でした。
こどもの日と改称された時期あたりに児童に関する様々な動きが活発でした。
西暦 | 出来事 |
---|---|
1946年 | 日本国憲法を制定 |
1947年 | 児童福祉法を制定 |
1948年 | 5月5日を祝日「こどもの日」と制定 |
1951年 | 児童憲章を制定 |
1994年 | 児童の権利に関する条約を日本が批准 |
1997年 | 児童福祉法を改正(放課後児童健全育成事業の法定化) |
1947年に児童福祉法が制定され、のちにこどもの日となりました。
こどもの日と児童憲章
児童憲章は1951年5月5日のこどもの日にすべての児童の幸福を図るために定められた児童の権利宣言がされた日です。
児童憲章では3つの基本領域と呼ばれるものがあります。
- 児童は、人として尊ばれる。
- 児童は、社会の一員として重んぜられる。
- 児童は、よい環境の中で育てられる。
これらは法的拘束力こそありませんが、児童の成長と幸福の実現を願い制定された宣言です。
3つの基本領域のほかに12条から成る条文もあり、教育を受ける権利、職業指導を受ける権利などがあり児童に権利があるとうたわれています。
今一度ご自身お子さんや地域のこどもたちには権利があることを念頭に置いて頂けると独身保育士の私からしてもうれしい限りです。
こどもの権利と法令
児童憲章ではこどもに権利があることが分かりましたが、児童憲章以外でもこどもの権利を明記しているところが様々あります。
児童福祉法
1951年の児童憲章は法的拘束力はありませんが、4年前の1947年には児童福祉法では冒頭の第一条総則にこどもの権利を保障する文言があります。
全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。
児童福祉法 第一章 総則 第一条
e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000164
短い文章の中にこどもの権利が沢山記されています。
非常に重要なため平成27年度の保育士試験(地域限定)でも出題されました。
児童の権利に関する条約
児童福祉法の条文でも出てくる児童の権利に関する条約は国際条約であり、日本は1994年に批准しました。
児童の権利に関する条約では4つの権利が定められています。
- 生きる権利 – すべての子どもの命が守られる権利
- 育つ権利 – 教育や医療、生活への支援などを受ける権利
- 守られる権利 – 暴力や搾取、有害な労働などから守られる権利
- 参加する権利 – 意見を表現しそれが尊重される権利、自由に団体を作る権利
児童憲章の中には「児童は、社会の一員として重んぜられる。」とされていますが、児童の権利に関する条約では「参加する権利」として意見表明権が書かれています。
こどもの意見を尊重するがあまりこどもの言いなりになるのは誤っていると思います。
しかし家庭内や学校内、学童内など大人とこどもが接する場あるいはこども同士が接する場でこどもが意見できる環境があって然りということだと私は理解しています。
早稲田大学の名誉教授である増山均さんによると、「治育」と表現しています。
「自分たちで何かをやってみよう」とか「自分たちで取り仕切ろう」など自治や参画の権利を尊重していきたいものです。
子育ての5つの育
先ほど早稲田大学名誉教授の増山均さんの「治育」を取り上げましたが、実際には「5つの育」として取り上げられています。
- 養育(よういく)
安心して命と権利が守られる権利 - 教育(きょういく)
学び、理解し、成長する権利 - 遊育(ゆういく)
ゆっくり休み、楽しむ権利 - 甦育(そいく)
つまずき失敗しても、立ち直る権利 - 治育(ちいく)
子どもの参加権、自治権
「養育」は家庭で行うべくものであり、「養育」にはさらに「3つの育」が存在するといいます。
- 食育(しょくいく)
出来合いではなく家庭内で何か手を加えて作った料理を食べること - 眠育(みんいく)
家庭だからこそ安心して寝られる環境を作りましょう - 気育(きいく)
家庭内の雰囲気の空気感は見えないけれど心の成長に影響します
これらは2018年に神奈川県で開催されました「全国学童保育研究集会」の記念講演にて増山均さんが登壇されたときの内容をもとにしました。
全国の支援員や指導員と呼ばれる方々を中心に集まり学童保育の情報が飛び交う貴重な場です。
「全国学童保育研究集会」の魅力や増山均さんの講演内容については後々記事にしていきたいと思います。
ここまで様々なこどもの権利を取り上げました。
本当は権利ひとつひとつ掘り下げるともっと沢山の気づきがあります。
5月5日は「こどもの日」です。
せめてこの日だけでも意識してこどもの発言や行動を振り返ってみてはいかがでしょうか。
きっと怒れてくることも別の視点が見つかると思います。
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